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生徒の進路選択を支える 「大学での学び探究講座」

トモノカイでは、学校向けの放課後学習支援プログラムや進路行事などの企画・運営サービスを提供しており、首都圏の私立中高を中心に40校あまりにご採用いただいています。大切にしているのが、現場の先生方とパートナーとして連携し、その学校の課題やニーズに合ったコンテンツを設計・提供すること。今回は、長期休暇中に「大学での学び探究講座」を開催している某私立女子校(D校)の取り組みについて、トモノカイ・和田麻菜美がご紹介します。

メンターの価値を活かすため、

「勉強を教える」から「学問について一緒に考える」へ

 D校では2020年度より放課後学習支援(自習室の運営)を行ってきました。D校の先生方には、ロールモデルとしてのメンター(大学生)の役割をご理解いただいており、自習室プラスアルファのイベントなどでは、生徒の学習意欲や目標設定にポジティブな影響を与える内容を希望されていました。

 そうしたなか、長期休暇中にも何かできないかとご相談いただき、企画したのが「大学での学び探究講座」です。メンターが講師になり、大学の学びについて中高生に向けて紹介したうえ、テーマについて共に考えていく探究型の講座で、2020年度夏期休暇に初めて実施し、以後、長期休暇ごとに毎回2〜3講座を開講しています。

  この講座を企画した背景には、私が普段から感じていた課題がありました。自習室を運営するメンターは、普段は中学・高校レベルの勉強を生徒に教えています。自習をサポートするうえではいいのですが、勉強を教えるだけではメンターのもつ価値を活かしきれていない、大学生だからこそ伝えられることがあるはず…という思いがありました。

 また、生徒を見ていると、大学・学部名やブランドで進路先を選ぶ傾向が少なからずあり、「大学で何を学びたいか」「将来どうなりたいか」まで深く考えたうえで進路選択をしてほしいという思いもありました。そこで、勉強を教えるから一歩踏み込んだ企画として、大学生であるメンターが、自分が大学で学んでいる学問、そしてどうしてその進路を選んだのか、将来どうなりたいのかという思いを中高生に伝える「大学での学び探究講座」をつくることにしたのです。

 

 

ディスカッションや発表を通して、生徒が主体的に「探究」するシーンをつくる

 講座を組み立てるうえで重視しているのが、一方的なレクチャーで終わらせない、ということ。興味のある学問や自分の将来を「探究」するきっかけにしてほしいという思いから、2時間の講座のうち1時間ほどは、双方向型のワークショップにあてています。

 学問に関するテーマについてメンターを交えてディスカッションをしたり意見を発表したりと、生徒たちがアクティブかつ主体的に学べるよう工夫しています。異学年(講座は中学1・2年生と中学3年生〜高校2年生に分けて実施)が混じる5〜6人のグループで話し合うのですが、「みんなが同じ回数発言するようにしよう」「他の人の意見を尊重しよう」といったグランドルールを設定し、全員が対等な立場かつ安心・安全な心理状態で臨めるよう場づくりをしています。

 また、メンター任せにせず、一緒に講座をつくることも大切にしています。メンターと私は事前に打ち合わせを重ね、自分の学問について中高生に何を持ち帰ってもらいたいか、生徒たちのディスカッションを促すにはどういうサポートが必要かといったことを話し合いながらつくっています。


 これまでに、脳科学、医学、心理学、古典学といった学問について、多様な講座を開講してきました。D校は理系教育に力を入れていることから理系の学問を重点的に扱い、なかでも医学に関する講座は毎回実施しています。D校には医学部志願者が多いのですが、「家族が医者だから医学部」「周囲も目指しているから自分も医学部」などという理由で目指す生徒もゼロではありません。

 安易な選択をしてしまうと大学入学後にミスマッチを起こしかねず、そうなると生徒がつらい思いをしてしまいます。医学部の学びや医師の仕事について理解したうえで目指してほしいという思いから、医学を学ぶメンターに広く呼びかけて開講しています。

 

 

 

大学での学びを共有することで、生徒もメンターも成長できる

 

 「大学での学び探究講座」への参加は希望制ですが、各講座に50〜90名ほどの生徒が参加してくれています。コロナの感染状況によってはオンラインでも開催しつつ、生徒の学びを止めないよう努めてきました。生徒からは、「普段は自分の意見を発言する場面がないので新鮮だった」「他の人の意見を聞くのがおもしろかった」「自分の意見を言えるようになった」「大学でどんなことを学ぶのかイメージができた」などといった感想が寄せられています。自分なりの意見や思いがあっても、普段の授業や学校生活ではそれを表現する機会はなかなかありません。言語化することでうちに秘めた意志や目標が明確になるという効能もあると思います。


 また、「大学での学び探究講座」を通して、メンター自身も大きく成長します。自分が学ぶ学問の意義や将来の方向性について改めて考えることで気づきもあるでしょうし、自分の学びや経験が中高生の役に立つという自負は、コロナ禍で悩むことも多い彼ら・彼女らの自己肯定感の向上にもつながると感じています。私たちにとって、メンターは生徒により良い学びを提供するための大切なパートナーであり、その成長は私たちの事業にとっても非常に重要だと考えています。

 「大学での学び探究講座」は、学校の先生方からも高評価をいただいています。講座を見に来てくださる先生も増えていて、長期休暇中の単発の取り組みではなく、日々の探究学習にも組み込んでいきたいという声もいただいています。2022年度から高校で探究(総合的な探究の時間)が始まりますが、大事になるのがテーマ設定です。

 さまざまなテーマのなかから自分が「これだ!」と思うものを選び、高校で突き詰め、大学でさらに深め、探究を通して身につけた力を使って働き、社会に貢献する…というのが、本来のあり方ではないかと思います。いろんな学問分野やテーマがあることを知る機会を生徒に提供するという部分で、トモノカイとして学校の力になっていけたらと考えています。

(文:笹原 風花)

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