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多彩なイベント開催で 放課後学習支援にプラスαの価値を創造する

トモノカイでは、学校向けの放課後学習支援プログラムや進路行事などの企画・運営サービスを提供しており、首都圏の私立中高を中心に40校あまりにご採用いただいています。大事にしているのが、現場の先生方とパートナーとして連携し、その学校の課題やニーズに合ったコンテンツを設計・提供すること。今回は、日常的な放課後学習支援に加えて月1回のペースでイベントを開催している某私立共学校(C校)の取り組みについて、トモノカイ・プログラムディレクター 丹羽直人がご紹介します。

生徒の学びを支えるパートナーとなるべく、先生方と対話を重ねる

 C校とトモノカイは2018年に提携を開始しました。私が担当になったのは2019年度からです。学校のご担当の先生も同じタイミングで新しくなり、双方ゼロからのスタート…という状況でした。

 同校には放課後学習専用の教室があり、月〜土の放課後に大学生のメンターが生徒からの質問に対応したり面談を行ったりしていました。高校1・2年生は全員、3年生は希望者を対象としていましたが、そこまで活発に利用されてはいませんでした。

 せっかくやるなら、生徒にとっても先生にとっても、そしてメンターや私自身にとっても価値あるプログラムにしたい。そう考え、動き始めました。

 最初に取り組んだのが、週1回のミーティングを設定し、ご担当の先生の思いを聞くことです。それは、「外部の業者さん」ではなく「生徒の学びを支えるパートナー」として私たちを見ていただきたかったから。先生のイメージする放課後支援はどのようなものか、生徒にどう活用してほしいか、生徒にどうなってほしいか…ということを尋ねていきました。

 意識したのが、先生と対話をすること。ただ杓子定規にヒアリングするのではなく、先生の教育に対する考え方や価値観、生徒への思い、要望などを、対話をするなかで拾い上げていきました。

 対話を重ねるなかで、まずは放課後学習支援サービスの利用者数や利用頻度を増やすことが大事だということになり、どうしたら生徒に足を運んでもらえるか、使いやすくなるかを先生と一緒に考えていきました。そして、「メンター通信」を掲示したり、殺風景だった教室に温かみを加えたりと、一つひとつは小さなことですが、地道に改善を続けていきました。

 同時に、チームの結束力を高めるために、25人ほどいる担当メンターとのミーティングを重ねました。トモノカイとしてのビジョン「ひとりひとりを学びの主人公に」やミッションを共有し、「ただ質問対応で終わるのではなく、生徒の成長に向けて僕らができることを考えてみよう」と呼びかけました。上述のビジョンは社として掲げているものですが、私は「生徒だけでなくメンターも自分自身も、学びの主人公に」とより広く解釈しています。メンターにアンケートをとり、C校のプログラムを通してどんなことを実現したいか、どんなことに挑戦したいかを挙げてもらいました。すると、それぞれがいろんなことを感じ、考え、アイデアを持っていることがわかったのです。そこからは、メンターが個性を発揮できる場にしようという思いがさらに強くなっていきました。

先生のふとした発言から「英検対策講座」を即座に実現

 先生方との対話と小さな改善を積み重ね、チームでビジョンや思いを共有する…というなかで、次第に三者の間に信頼関係ができていきました。コロナ禍に見舞われた2020年度は、「生徒の学びを止めない」という思いで、休校期間中もオンラインで放課後学習支援を継続。そうしたなか、9月頃に先生からふと、「英検対策に困っている」という言葉が出てきたのです。

 これはチャンスだと思い、メンターに相談しつつすぐに社内の事例などを集め、「英検対策講座」イベントの提案を固めました。そして、9月末にはオンラインで初開催。英検2級・準2級受験者に向け、失敗談を含めたメンターの受験体験や学習アドバイスを中心に、英作文、リスニング、リーディングの演習・解説なども行いました。参加した30人ほどの生徒の満足度は非常に高く、イベントをきっかけに放課後学習支援サービスを利用するようになった生徒も多数いました。

 また、即座の対応や充実した講座内容は先生からも大変好評で、そこから「(トモノカイは)他校では他にどんなイベントをやっているの?」などと興味を持っていただけるようになりました。さらに、メンターも新たな価値を創造できたという手応えを感じたようで、「こういうイベントはどうですか?」「こういうのやってみたいんです!」と前向きな声や提案があり、現場が一気に活気づいたのです。

 それまでは積極的な新規の提案はしてこなかったのですが、英検対策講座をきっかけに先生方の関心が高まり、私たちも堂々と提案ができるようになりました。そして、先生方が興味をもって聞いてくださったことで話が深まり、計画が具体的になっていきました。こうして受け入れていただけたのは、それまでに培ってきた信頼関係があったからこそ。

 2019年度からコツコツと積み上げてきたものがまさに実を結んだという感じでした。2020年度内にはさっそく、「英検対策講座第2弾」「難関大志願者向けの大学別ガイダンス」などを実施。同時に、2021年度の年間イベントスケジュールを提案し、採用が決定しました。

 

月1の多彩なイベントで対策+生徒のマインドを変革

 そして今年度は、月1回、オンラインと対面のハイブリッド形式でイベントを開催しています。
 英検対策講座のほか、「勉強法ゼミ」「模試チャレ」(模擬試験対策)「テスト対策」(定期考査対策)などを展開。なかでも模試チャレには200人あまりの生徒が参加し、大きな反響がありました。

 さらに、8月には高校2年生やその保護者を対象にした大型イベント「大学体感ゼミ・座談会」を開催しました。
 これは、夏休みに何をしたらいいかわからない、目標をどう設定すればいいかわからない、国公立大学って難しいんでしょ…といった悶々とした悩みを抱える学力中位層が少なくないという相談を先生から受け、企画したイベント。

 2時間にわたるイベントの前半では、いわゆる“難関大”で学ぶ学生が自らの高校生活や受験について、どういう壁や挫折がありそれをどう乗り越えたかといった体験を語りました。

 また後半は、実際に夏の計画を立ててみよう…という実践的な内容にしました。本イベントの目的は、生徒の難関大への心理的距離感を解消し、難関大の魅力を体感することで、日々の学習や難関大挑戦への動機付けをすること。従来の対策型のイベントとは一線を画し、生徒の意識自体を変えることを狙ったものでした。

 参加した生徒からは、「モチベーションアップにつながった」「難関大って天才だけが行くと思っていたけど、努力すれば行けることがわかった」などの声が寄せられ、先生方や保護者からも高評価をいただきました。9月以降も「文理選択プログラム」など時期に応じたイベントを開催予定で、来年度の年間計画にもすでに着手しています。

 私がプログラムを構築するにあたり大事にしているのが、「共感と共創」。こうしたイベントも、先生方の声や要望に寄り添いつつ(=共感)、メンターと意見やアイデアを出し合いながら一緒に創り上げています(=共創)。

 自己実現につながりやりがいが感じられるためメンターのモチベーションも非常に高く、主体的に取り組んでくれています。今後はメンターがより主体的に動けるチームづくりを心がけ、先生方と引き続き対話を重ね、多角的な視点でC校の教育の再設計に貢献していきたいと考えています。先生方やメンターや私自身が学び続けることは、結果的に生徒の学びや成長に還元します。とはいえ、まだまだ道なかば。「ひとりひとりを学びの主人公に」というビジョンの実現に向けて、さらに邁進していく所存です。

(文:笹原 風花)

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